選考委員

安藤 邦廣

筑波大学名誉教授

建築家、工学博士、里山建築研究所主宰。一般社団法人日本茅葺き文化協会代表理事、一般社団法人日本板倉建築協会代表理事を務める。日本および東アジアの伝統的住宅の研究、特に茅葺き民家や小屋と倉に関する研究を行い、茅葺き民家の活用の技術とデザイン、茅場の調査と再生にも取り組んでいる。著書に『日本茅葺き紀行』『茅葺きの民俗学』『小屋と倉』『民家造』『住まいの伝統技術』他がある。

中村 義明

長野県小谷村村長
全国草原の里市町村連絡協議会会長

長野県小谷村生まれ。幼少期から北アルプス山麓の雄大な自然の中で育ち、学ぶ。平成20年から5年間大町郵便局長、平成25年から南小谷郵便局長を歴任する。平成31年の地方統一選挙において小谷村長となり現在2期目である。自身も地元の山麓に広がる草原である「雨中ショクの茅場」を管理する林野組合に加入して、春には「野火つけ」と呼ばれる茅場の山焼き作業にも積極的に参加しており、草原維持の実践者でもある。

河野 博子

ジャーナリスト
自然環境研究センター理事

東洋経済オンラインや地方自治専門誌「月刊ガバナンス」などに書いている自営のジャーナリスト。1979〜2018年、読売新聞の記者。留学や持派員で米国にいた時期は合わせて9年間。もともと社会部の記者で、最近は防災減災や地域の生態系保全、地域づくりなどの取材が多い。私たちは、経済成長ありきの「昭和の時代」の考え方からいまだに抜け出せず、開発や土地利用を続けている。なんとかしたい。

 

高橋 佳孝

一般社団法人 全国草原再生ネットワーク代表理事

専門は草地生態学。1979年に農林水産省に入省以来、自然環境、地域社会など幅広い分野に関心を持ち、草原にまつわる問題を農畜産業や文化景観の視点から幅広く調査研究している。全国草原サミットの開催にも尽力し、2007年には「全国草原再生ネットワーク」を立ち上げた。また、自然推進法に基づいて2005年に発足した「阿蘇草原再生協議会」会長として、人と牛が共生する阿蘇草原の維持・再生に取組んでいる。

長沢 裕

タレント
日本環境教育フォーラム理事

緑豊かな福島県伊達市で生まれ育つ。幼い頃から家の前の山で遊ぶのが大好きで、多くの学びと癒しを自然から得ていた。大学生の頃には三重県美杉町の倶留尊山のふもとにて農業を経験。近くには曽爾高原もあり、朝日や夕日とともに、緑を駆け抜ける風の気持ちよさを全身で感じていた。現在はレポーターとして、自然とのつながりを感じる瞬間を多くの人と共有すべく、旅番組や情報番組、イベントなどに出演している。

町田 怜子

東京農業大学地域創成科学科教授

造園学博士。専門は風景計画、観光、環境教育。2001年から阿蘇の草原景観保全研究に取り組み、草原と共生する暮らしをテーマに草原学習を阿蘇の各地小中学校で実践している。2012年の九州北部豪雨、2016年の熊本地震では、地域復興を目指し草原学習と防災教育を統合した環境教育プログラムに取り組んだ。未来の担い手の子どもたちのために、小学校、保護者、NPO、行政と連携した草原学習の教育活動方策について研究している。

湯本 貴和

選考委員長
京都大学名誉教授

専門は生態学。とくに植物の送粉や種子散布をおこなう動物との関係について研究に取り組む。そのうち、草原に多く生息する送粉者のマルハナバチ類について、九州や本州の各草原をはじめ、モンゴルまで調査を実施。また、日本列島の半自然草原や里山を含むさまざまな自然の成り立ちについて共同研究を行い、その成果を『シリーズ日本列島の三万五千年―人と自然の環境史(全6巻)』で発表している。

養老 孟司

東京大学名誉教授

解剖学者。東京大学名誉教授。心の問題や社会現象を、脳科学や解剖学などの知識を交えながら解説し、多くの読者を得た。1989年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。新潮新書『バカの壁』は大ヒットし2003年のベストセラー第1位、また新語・流行語大賞、毎日出版文化賞特別賞を受賞した。大の虫好きとして知られ、昆虫採集・標本作成を続けている。『唯脳論』『身体の文学史』『手入れという思想』など著書多数。